六甲山の私有林見学会報告。神戸市主催で研究会としては、広報等の協力の立場です。当日の参加者は20名で建築関係が4名、森林林業関係が1名、環境系が5名、その他コンサルタント系・行政関係などです。この日のテーマは、林業的に言う川上から川下(少し手前ですが)にふれるものです。
 最初は、川下に当たる神戸元町の林業会館、集合場所でした。この建物はCLT工法で2019年1月に完成しています。CLTとはクロス・ラミネテイテッド・ティンバーの頭文字で、板を縦横交互に張り合わせていったもので、林業会館は鉄骨構造とのハイブリッドで、都市型耐火CLT建築の プロトタイプとも言うべきものです。この構造により、大きく執務空間を確保することができています。また、1階には六甲山材を活用した木製ベンチなどの紹介がありました。

次は私有林見学のメイン、川上部分の六甲山北側、上唐櫃林産農協所有林を見学しました。上唐櫃林産農協の山は300ha、六甲山系の中では下唐櫃林産農協、有野更正農協などと合わせて、唐櫃地区は比較的スギ・ヒノキ人工林が多い箇所です。これまで、組合員の手により、間伐・枝打ちの作業が行われてきたが、搬出の手間や販売価格の低迷もあり、これからも維持していくためには行政の支援の必要な事が、組合長から説明されました。ここ数年、シェアウッズの山崎さんが、間伐材を購入され、六甲山材を活用した様々な展開を実行されています。

次は、同じく上唐櫃が所有している広葉樹林で、2019年度に県民緑税事業都市山防災林整備事業で整備を実施した箇所です。この区域はアカマツ群落で、元々は薪炭林であり、マツタケ山でもあった箇所である。昨年の施業は下層を覆っていたソヨゴ、アラカシなど常緑広葉樹の除伐が中心にされており、山のお掃除という感じになっています。まだ大径のコナラも残っており、こういう広葉樹の活用も考えていく、今回の多様な参加者から面白い意見が出てくればと思います。


お昼には、ビジターセンターで見学も兼ねて六甲山上地区記念碑台に寄りましたが、小雪が舞っていました。

最後は、街に戻って、兵庫区材木町の(株)三栄を見学で、服部社長(4代目、5代目)から会社の歴史も含めて説明を受けました。この地区にはかつて鐘紡の工場があった箇所(現在の御崎公園・ノエビアスタジアム神戸)です。三栄は、その梱包材からスタートしたそうで、建築材(南洋輸入材)の製材が中心の時代もあったそうですが、建具・家具など用の製材などを受け入れてきたことなどから、材木町で最後に残った製材所です。近年では、山崎さんなどとも連携し、六甲山からの発生材を活用に取組んでおられますが、最近は街路樹材の製材や製品づくりも実施されています。

六甲山私有林見学会

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