事業者の養成
森林環境譲与税事業は、私有林の整備を進めていくことが大きな目標の一つです。
残念ながら、地元の神戸市内には、山の仕事にたけた事業者はいません。市内の事業ですので、できるだけ地元の企業にお願いしたいところです。木の手入れをするということでは造園の企業が共通です。そこで、市内の造園事業者に相談して、神戸市では森林林業の研修会を行いました。(公務ですので、以下は例によって個人的な感想です)
管理人自体、林学科造園学研究室の出身ですので、林学と造園は近接分野ではあるのですが、仕事のやり方はかなり異なるようです。市や県の事業の説明などを行いましたが、県出身のサポートセンターの方も来られていましたので、質疑も兼ねて意見交換をすることができました。その中で印象に残ったことがあります。
その方は、樹木医の資格もとっておられるそうですが、樹木医の資格は造園業界からも多くの方が資格を取得されているそうですが、造園出身の方は、「樹木のお医者さん」という意識が強く、例えば「大きな木の腐った部分(患部)を除去して、防腐措置をする。」つまり、できるだけ延命治療を行うという意識が強いのではないか、一方で、森林の整備では、生長不良木の伐採(除伐)もするし、更新をするために大きな木を伐採することもある。また、造園事業者の方からは、山の仕事ではおそらくどこかで、効率性を優先していると思うが、その辺が造園業者は理解できていないというような議論がありました。
実際、庭園の手入れでは一本1本が大切になってきます。守らなくてはいけない木もあると思います。一方で、森林の手入れでは例えば3割間伐を行いますし、六甲山森林整備戦略では、「森林更新をすることで、都市にふさわしい山にしよう」としています。また、ナラ枯れがあれば、伐採します。「木を見て森を見ず」よく使われる意味ということではなく、そういう文化の違いはあるのだと思います。